ホームインスペクション(住宅診断)が投資物件の購入判断に使用されることもしばしば。
最近は格安な物件を狙って購入し、賃貸に出し高い利回りを狙う方が増えているようです。古ければ古いほど劣化が進行していますし、性能も低いことが多く、建物の価格が安くなります。
建物の価格がゼロなんてものもかなりありますね。
安い!と思ってDIY等で直せばいいやと手を出しがちですが、ちょっと注意すべき点があります。
それはアスベスト(石綿)の危険性の話です。
あなたの健康にも害を及ぼす可能性がありますので、絶対に注意してください。
そしてそれは健康被害だけに留まらないかも。
今回はそんなところをポイントに話しますね。
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かなりヤバめな、アスベスト(石綿)
最近の流行ってきているDIY。
YouTube等でも改修のやり方などの動画が多くアップされていますので、比較的やりやすい環境になっているのもそのブームを後押しする要因の一つです。
しかし動画を見ていて大丈夫なの?と思うことが…。
解体の時の動画が多いです。
でっかいハンマーで壁を壊したり、天井を落としたり。
ストレス発散で超楽しそう!って思う方もいると思いますが、実は語られない事実があります。
ここはあなたの健康被害にも及ぶものですので絶対に注意してください。
それはアスベスト(石綿)に関する考え方です。
国に賠償命令の判決が下った。
数十年前までアスベストを使用した建材は当たり前のように使われていました。とても優秀な素材のと言われていた為、様々な建材に混入されており、当時そのアスベストを吸って健康被害を受けた方々たくさんいらっしゃいます。
そして近年、健康被害を受けた方々が訴訟を起こし、国に賠償命令が下っているのをニュースで見た方もいると思います。
つまり今後、国が主導してこのアスベストの対策を行っていかなければまた賠償責任を負わなければならないなんてことになりかねません。
国も必死ですよね。
急激に法整備が進むアスベスト規制
そんなこんなで、現在では色々と問題のあるアスベストですが、その法整備の変遷に伴い、基準が厳しくなってきています。
当時は法律に適合していたもの(含有量が当時の規定値以下のもの)でも現在の法律に当てはめると、アスベスト含有あり。となります。
既存不適格というわけにはいかないんですね。
もちろんそれをそのまま解体すると健康被害を受ける場合もありますが、投資家の方が気にしなければいけないのが、撤去時の費用ではないでしょうか?
そのアスベスト含有ありと判定された場合には、その解体や撤去時にそれなりの費用が生じてくる可能性があります。その金額は数十万~数百万になる可能性も…。
それを知らずして数年運用して解体すればいいや…と思っている方は特に注意が必要です。
物件を取得した時点でその負債を抱えていることになるんです。
私は税理士ではないので、詳しくはありませんが会計の方のも負債として絡んでくるようですよ。
でも今までそんな話聞いてなかったよ…。という方もいるかと思います。
それもそのはず。ここ数年でアスベストに関する法改正が急激に進んでいます。
その大きな法改正の第一弾が2021年4月~施行になった法律。
建物の解体を行う場合には事前調査が必要になりました。
そして2022年4月に施行されたその適用範囲には驚きです!
【報告対象となる工事】
- 建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80 ㎡以上)
- 建築物の改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
- 工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
これって…ほとんどじゃない??
例えばお風呂の交換等で、リフォーム工事(改修)をする時を考えてみましょう。
100万円で済みますか?しかも税込み。
該当した場合にはアスベスト含有の事前調査をしなければなりません。
調査費が掛かりますよね。
それで万が一、アスベスト含有となったらどうなるのでしょう??
工事費が上がりますよね。
ちなみにDIYに話を戻すと、バーンとかドーンとかバリバリバリ!とかやっていると、近隣でこのことを知っている人がいたら…クレームになります。
近隣に健康被害をまき散らしているようなものですからね。
築古投資物件大丈夫??
そんな中で、流行っている築古戸建ての不動産投資。
これやばいんじゃ…。そう思ってインスペクションマンは検討しましたが手を引きました。
しかしそんな話は世間に出回っていません。どういうことでしょう。
インスペクションマンの勝手な予測
アスベスト含有建材使用の耐久性に問題のある建物がガンガン売り出されるのでは…。
不動産投資家はそんな物件の手を放すタイミングを図っているのでは…と。
今は法改正の過渡期。なあなあで済んでしまっていると思いますがおそらく数年後にはかなり厳しくなってくるのでは。
数年後に法律の規制がかけやすくなったタイミングでは手遅れかもしれません。
投資物件として月数万円の利益を得てと思ったら、それはアスベスト撤去費用に消えていく可能性があります。
特に木造住宅の場合、建物の残存寿命とアスベスト関連費用を差し引いて利回りの計算をしてみると…。考えたくないかも…。
建物を壊したくても壊せない時代がやってくるのかもしれません。
ホームインスペクション(住宅診断)をして調べれば大丈夫?
建物の調査という意味ではある程度分かるかもしれませんが、ホームインスペクション、住宅診断とアスベストの調査は異なります。
アスベスト調査は『建築物石綿含有建材調査者』という別の資格を持ったものが行う調査になります(現在は資格不要)なので別手配で行わなければならない可能性があります。
資格名称の通り、アスベストは建材に含まれているものが多いです。
建物の構造部分や雨漏りの部分とは異なった判断が必要になります。
建材に含まれているということは、建物の根本にあまり影響がないから大丈夫とは言えないですね。
石こうボードにも含まれているので、『この壁は構造じゃないから大丈夫だよ!』というわれて『わー、楽しー』って壁を壊すのは
実は楽しくありません。
まとめ
いかがでしょうか?
アスベストの規制が強化されてという情報は多く見ますが、今後どのような影響が出るかまで考えると恐ろしいですね。
解体を伴わず、アスベストを封じ込める等の方法もありますので、最適な方法を選択しましょう。
今後の動向に注意しておきましょう。
インスペクションマンでした!
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